Macro

自治体債ポートフォリオ取引、流動性と取引コストの削減を実現

By Max Weldon

7/11, 10:50 EDT
S&P 500
iShares 20+ Year Treasury Bond ETF
iShares 7-10 Year Treasury Bond ETF
BlackRock, Inc.
Intercontinental Exchange Inc.
MarketAxess Holdings, Inc.
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主なポイント

  • ポートフォリオ取引が地方債市場で注目を集めており、流動性の向上と取引コストの削減が期待されている。
  • MarketAxessは地方債のポートフォリオ取引ツールを立ち上げ、1回の取引で最大1,500債券を取り扱えるようになった。
  • 小規模な借り手の債券が非流動的であるなどの課題はあるものの、この手法により価格透明性と流動性が大幅に改善される可能性がある。

地方債におけるポートフォリオ取引

地方債市場では、ポートフォリオ取引が注目を集めるようになってきている。この手法は、複数の債券を一括で売買できるものであり、過去6年間、米国社債市場の主流となってきた。現在、地方債運用者もこの手法の採用を始めており、従来の買い持ち中心の市場に流動性を注入することが期待されている。地方債市場は小規模な自治体や学区の債券が多く、長期間取引されないことから、個別の債券価値を把握するのが難しく、手数料も高めになりがちだった。

インターコンチネンタル取引所の固定収益事業部門ICE Bondsのプレジデント、ピーター・ボーステルマンは、地方債のポートフォリオ取引は「まだ初期段階」だが、「成長の余地がある」と指摘する。インターコンチネンタル取引所は昨年、地方債のポートフォリオ取引を開始し、すでに複数の取引を実現している。ベンチャード・グループも、関係者によると、この手法を活用している投資運用会社の1つだ。

MarketAxessは最近、地方債のポートフォリオ取引ツールを立ち上げ、1回の取引で最大1,500債券を扱えるようになった。アライアンス・バーンスタインの地方債チームを率いるジム・スウィッツァーは、年末の税金損失の実現に際してこの手法が有用だと指摘する。スウィッツァーは、より多くの運用会社が「仕組みを解明」し、この手法の活用を広げてほしいと述べている。

課題と機会

ポートフォリオ取引には、いくつかの課題もある。地方債市場は小規模な借り手の債券が大半を占め、取引頻度が低いため、投資家が適正価格を把握するのが難しい。債券の識別コード(CUSIP)は地方債が約100万件、社債が4万件と大きな差がある(ボファ証券の戦略家による)。TD証券のTDS自動売買共同責任者、マシュー・シュレーガーは、地方債のショート取引が難しいことから、ポートフォリオ取引にも支障が出ると指摘する。「売りたいのは自分が持っている分だけ」と述べている。

また、個別の債券について最良の執行を求められる個別運用口座(SMA)の増加も、ポートフォリオ取引を複雑化させている。しかし、メリットも明らかだ。バークレイズの2022年の調査によると、ポートフォリオ取引は社債市場の取引コストを40%以上削減している。社債市場では取引量の約10%(6年前は2%未満)をポートフォリオ取引が占めるまでになった。

Tradeweb Marketsの米国法人クレジット責任者、イジー・コンリンは、ポートフォリオ取引が社債市場の流動性を高めたと指摘し、地方債市場でも同様の効果が期待できると述べる。ブルームバーグ・インテリジェンスの地方債戦略責任者、エリック・カザツキーも「地方債でポートフォリオ取引が一般化すれば、より流動性の高い資産クラスになる」と語っている。

BlackRockの地方債市場戦略

BlackRockは、パット・ハスケルの指揮の下、地方債事業の強化に取り組んでいる。ハスケルは2022年初めに地方債責任者に就任し、積極的な運用ファンドからの大幅な資金流出(2020年以降約137億ドル)に歯止めをかける課題に直面している。最近の業績改善にもかかわらず、資金流出は続いている。

ブルームバーグ・インテリジェンスの上級地方債ストラテジスト、エリック・カザツキーは「オープンエンド型ファンド部門の投資家信頼を取り戻すのは大変な仕事だ」と述べる。一方、ETFなどインデックス追跡ファンドを中心に、BlackRockの地方債運用資産は2019年末の1,630億ドルから2022年第1四半期には1,850億ドルに増加した。

ハスケルの起用は、BlackRockが積極的運用ファンドの比重を高める戦略の一環だ。これらのファンドは運用プロが機会を見極め、リスクを管理するため、手数料が高めになる。ハスケルのモルガン・スタンレーでの実績(小売・機関投資家部門の統合、地方債の売買アルゴリズムの立ち上げ)から、この課題に対処できる手腕が期待されている。

市場関係者の見方

  • ピーター・ボーステルマン、ICE Bonds(地方債のポートフォリオ取引に慎重な楽観):

    "まだ初期段階だが、成長の余地がある"

  • ダニエル・ケリー、MarketAxess(地方債のポートフォリオ取引に強気):

    "顧客からの要望に応え、MarketAxessは先月、地方債のポートフォリオ取引ツールを立ち上げた。最大1,500債券を1回の取引で扱える"

  • ジム・スウィッツァー、アライアンス・バーンスタイン(税金損失の実現にポートフォリオ取引を活用):

    "可能な限り、地方債でもポートフォリオ取引を活用している。ただし地方債市場にはいくつか制限がある"

  • マシュー・シュレーガー、TD証券(地方債のポートフォリオ取引に中立的):

    "地方債のポートフォリオ取引は一般的に難しい。売りたいのは自分が持っている分だけ"

  • イジー・コンリン、Tradeweb Markets(ポートフォリオ取引の流動性改善効果に慎重な楽観):

    "ポートフォリオ取引は社債市場の流動性を高めた。価格透明性が向上した。地方債でも一般化すれば、より流動性の高い資産クラスになる"