Real Estate

スペイン、住宅危機深刻化 ホームレス率24%増加、公営住宅1.5兆円投資へ

By Doug Elli

7/11, 02:17 EDT

【スペインの深刻な住宅危機】

■ポイント

  • スペインの無家庭率は2012年以降24%も増加し、高家賃と社会住宅不足が原因
  • 政府は3年間で18.4万戸の公営住宅を追加する計画だが、銀行は150万戸が必要と試算
  • 観光客向けの短期賃貸が56%増加し、長期賃貸供給を15%減少させ、住宅危機を悪化

■スペインの無家庭者増加

がんの治療のためにマドリードに移住したフランシスコ・カリーヨ(62歳)のような事例が、社会住宅不足と長期賃貸を阻害する規制により、賃貸市場から締め出されるスペイン人の象徴となっている。短期賃貸(Airbnb、Booking.com等)の急増も問題を悪化させ、全国各地で抗議活動が広がっている。公式統計によると、スペインの無家庭率は2012年以降24%も増加し、現在約28,000人が住居を失っている。

■短期賃貸の影響

短期賃貸の急増により、長期賃貸物件の供給が15%減少した。物件情報サイト「Idealista」のデータによると、一方で観光客向けの短期賃貸は56%増加した。これにより、マドリードでは新規物件に40人以上が殺到するなど、激しい競争が起きている。銀行によると、賃貸住居に住む人の45%が貧困や社会的排除のリスクにさらされており、これはEU平均の最も高い水準。さらに、スペインの社会住宅ストックは全住宅の1.5%にすぎず、EU平均の9%を大きく下回っている。

■政府と慈善団体の取り組み

スペイン政府は今後3年間で18.4万戸の公営住宅を追加する計画を発表したが、銀行は150万戸が必要と試算している。一方、慈善団体も支援に乗り出している。例えば、「Mundo Justo」と「Hogar Si」は、無家庭者に市場価格以下の賃貸住宅を提供している。また、ソーシャル・インベストメント・ファンド「Techo」は230戸の住宅を所有し、50のNPOと協力して手頃な住宅ソリューションを提供している。しかし、マドリードだけでも4万8,000人が公営住宅の待機リストにいるなど、需要は供給を大きく上回っている。

■より広範な影響と比較

スペインの住宅危機は孤立した問題ではなく、欧州全体の傾向の一部である。欧州委員会によると、過去10年間で欧州全体の無家庭者が大幅に増加している。一方、米国ではベイエリアで200億ドルの公債発行が提案され、4万1,000戸の低価格住宅開発を支援する取り組みが行われている。このように、公的・民間双方の努力が、脆弱な人々に安全で手頃な住宅を提供するために不可欠である。